2021年5月末、罠の設置後間もなく繁殖期に入ってしまい、突如として姿を現さなくなり一ヶ月弱、その後再び現れてくれましたが他の野犬のオスに追い回され怪我を負ったり妊娠による行動パターンの変化で設置した罠も功を奏せず終い、その後ついに出産。
仔犬捕獲と同時に子犬を利用しての捕獲計画を実行しましたが、捕獲待機中の大事な時に、捕獲まで時間がかかりすぎるとの理由でイラついた地主さんに罠を壊されてしまうという想定外のトラブルまで(涙)
子犬を利用した捕獲作戦はその後断念し、新たに地主さんを説得し、罠を再度設置。
そこから更に2か月、苦節半年この度やっと努力が報われました。
通常の捕獲器を使っての野犬の捕獲は困難を極めます、空腹な若犬であれば、まだ望みはありますが、知恵のついた警戒心の強い成犬は可能性はほぼゼロに近いのが実情です。
今まで野犬の捕獲に成功した方法は木製の畳二畳分ほどの大きな手作りの捕獲器を組み立てにじっくり時間をかけていくやり方です。
(野犬がその場に居ついているという事が大前提です)
初日は材料を置くだけ、野犬が材料を置いた後にもその場に来ていることを確認し、組み立てを開始します。
まずは骨組み、そして3~4日後に壁面を一面、次に二面、置いた餌を食べに来ていることを確認しながら1週間から2週間じっくりと時間をかけ行います。
最後に天板を取り付け完成、完成した後も仕掛けを使わず、餌だけを与えます。
餌を完全に食べていることが確認出来たところで実行します。
捕獲器を置く場所の確保も更に大変で扉が落ちる仕掛けの場合、危険が伴いますので猫や人間の子供が近づかない等、細心の注意を払う必要があります。
そして、鉄製の捕獲器と違い木製の捕獲器は掛かってすぐに対処しないと簡単に噛み破られてしまいます。
今回は頭上に何かあるとそこを通らないという事が分かっていたので、箱型罠には入らないと予測し、長さ20m幅3mというドッグランの様な罠を仕掛けました。
朝のお散歩の時に付いてくるという行動パターンを利用し当日の朝、出口を閉めておいて、入ったら入り口を閉めるという方法を取りました。
出入口の部分のネットは瞬時に移動しやすいよう軽いパイプをL型に通して取付けました。
罠に入ったとしても、そこから距離を詰めクレイトに入れるまでも大変です。
アプローチから、僅かな手の動き等どれ一つとっても非常に神経を使います。
そこまで気を使ってもこちらの思い通りに行かないのが当たり前。
どんな動きを見せるのか一瞬一瞬の犬の動きに合わせ出来る限りプレッシャーを与えない方法で取り組む必要があります。
強引に事を進めすぎてしまうとその後のフォローにとても時間がかかるからです。
後日談として耳にしましたが、この母犬は畑の主や、牧場の人達から、ロケット花火を打たれ、石を投げられ、トラックで追い回され追い払われていたのだそうです。
捕獲の依頼主さんが、その都度一生懸命説得して攻撃から守っていたとの事でした。
人間から暴力的に追い払われていたのですから人間不信となるのは当然の事。
入り口を塞ぐ人、出口を塞ぐ人、中に入る人と最低でも三人必要だったので人数の揃う日程を決め、いざ実行へ。
万が一ネットを乗り越えられてしまったら、ネットの下をくぐられてしまったら、もたついている時にネットを破られてしまったらと、すべてを想定して作った罠ではありますが、若くてエネルギッシュな犬がパニック状態になってしまうと何が起きても不思議ではありません。
急に追い詰めれは攻撃してくる事も考えられます。
注意深く観察していると
罠が広い事もあり、パニックが鎮まるスピードは割と速く、耳を下げ体を低くしています。
しかし、どんなにゆっくりアプローチしても、最終的に素早い動きで離れ、手の届く距離に近づくことが出来ません。
唯一近づけるのは仲良しのオス犬だけ、出産後2カ月が経過し次のシーズンの始まりかけか、そのオス犬が今回のターゲットの母犬にマウンティングを始めました。
タイミングを計り用意していた捕獲用の首輪を使い首にかけた瞬間、くるっと身をかわされ、抜けられてしまいました。
軽くかけただけで固まってしまう場合もあるのですが、今回はそうはいきませんでした。
次は抜けられない様にしっかりと掛ける必要があったので力比べです。
一瞬で勝負を決める必要があります。
狂ったように暴れ、逃れようとパイプに噛みつき力いっぱい抵抗してきましたがそのままクレイトに押し込む形で捕獲を成功させました。
クレイトを車に積み終え時計を見ると3時間が経過していました。